資本主義(しほんしゅぎ)とは、個人や会社が、お金や道具などの「資本」を使って商品やサービスを作り、市場で売り買いすることを中心にした経済の仕組みです。
日本をふくむ多くの国では、資本主義を土台にしながら、政府が法律や税金、公共サービスで暮らしを支えています。
この記事では、パン屋さんを例にして、お金・仕事・商品がどう動くのかをいっしょに見ていきましょう。
資本主義とは?まず「資本」の意味を知ろう
資本(しほん)とは、商品やサービスを作るために使う元手です。
会社を始めるお金だけではありません。工場、機械、お店、仕事に必要な道具なども資本にふくまれます。

お金を持つだけではありません。そのお金で材料や道具を用意し、人が働いて商品やサービスを作り、売るところまでが大切です。
たとえば、パン屋さんなら、オーブンやお店、材料を買うお金が元手になります。パンを売って得たお金から、材料代や給料などを払い、残った分が利益(りえき)、つまり商売で得たもうけです。
パン屋さんで見ると、お金と仕事はどう回る?
町に新しいパン屋さんを開く場面を考えてみましょう。
- 店を開く人が、お金を用意します。
- オーブンや小麦粉を買い、働く人をやといます。
- パンを作り、お客さんが代金を払って買います。
- 店は売上から材料代、家賃、給料などを払います。
- 利益の一部を、新しい商品や道具に使うことがあります。
大きな事業では、一人で必要なお金を用意できないこともあります。株式会社(かぶしきがいしゃ)は、株式を発行して多くの人から資金を集め、その元手で事業を行う会社です。
ただし、商売はいつも成功するとは限りません。商品が売れなければ、利益が出ないことや、事業を続けられないこともあります。
経済を動かす「家計・企業・政府」とは?
総務省統計局は、経済を動かす主な単位を「家計・企業・政府」の3つに分けています。
| 経済主体 | 主な役割 | 身近な例 |
|---|---|---|
| 家計(かけい) | 働いて収入を得て、商品やサービスを買う | 家族が給料を受け取り、食べ物を買う |
| 企業(きぎょう) | 商品やサービスを作り、仕事や給料を生み出す | パン屋、鉄道会社、ゲーム会社 |
| 政府 | ルールを整え、税金で公共サービスを行う | 学校、道路、消防、社会保障 |
家計は企業で働き、給料を受け取ります。企業の商品を家計が買うと、代金が企業へ入ります。政府は家計や企業から税金を集め、学校や道路などに使います。
税金の役割は、税金の使い道を説明した記事でも確認できます。
商品の値段はどうやって決まるの?
資本主義では、多くの商品やサービスの値段が、市場(しじょう)での売り買いを通して決まります。市場とは、売りたい人と買いたい人が取引する場のことです。
人気が高く、数が少ない商品は値上がりしやすくなります。反対に、売る店が多く、商品が余っていれば、値下がりすることがあります。
ただし、値段は人気と数だけで決まるわけではありません。材料費、働く人の給料、運ぶ費用、税金なども関係します。

店どうしは、お客さんに選んでもらうため、味、値段、接客などを工夫します。公正取引委員会は、企業の競争が、商品の低価格化、サービスの充実、機能の改良、選択肢の広がりにつながると説明しています。
一方で、一つの会社だけが強くなりすぎると、競争が働きにくくなる場合があります。そのため、政府は独占禁止法(どくせんきんしほう)などのルールを設け、公正な競争を守ります。
資本主義の良いところは?
新しい工夫が生まれやすい
会社はお客さんに選ばれるため、便利な商品や新しいサービスを考えます。よい工夫が広がれば、暮らしが便利になることがあります。
多くの選択肢から選べる
いろいろな会社が商品を作れば、買う人は値段や品質を比べられます。働く人も、法律の範囲で仕事や働き方を選べます。
必要なところへ資金を集められる
新しい事業には大きなお金が必要なことがあります。株式や銀行からの借入れなどを使うと、多くの人のお金を事業に役立てられます。
銀行や金利の働きは、金利とは何かを説明した記事も参考になります。
資本主義にはどんな課題がある?
収入や持っている財産に差が生まれる
働く場所、健康、家庭の状況、景気、持っている資産などは人によって違います。結果を努力だけで説明することはできません。
収入や財産の差が大きくなると、教育や医療を受ける機会にも差が出る心配があります。政府は税金や社会保障などで、その差による困りごとを小さくしようとします。
競争がいつも公平とは限らない
一部の会社が市場をほぼ独占すると、買う人が商品を選びにくくなったり、値段が高くなったりする可能性があります。商品について、売る側だけが詳しい情報を持つ問題もあります。
利益だけでは解決しにくい問題がある
道路や公園のように、多くの人が使うものは、会社の利益だけを考えると十分に用意されないことがあります。公害や地球環境のように、取引する人以外へ影響が広がる問題もあります。

資本主義と社会主義は正反対なの?
社会主義(しゃかいしゅぎ)は、生産に必要なものを社会全体で管理し、計画的に配分することを重視する考え方です。
ただし、現実の国の仕組みは、二つにきれいに分かれるわけではありません。資本主義を土台にする国でも、政府が学校、医療、年金などを支えます。政府の関わり方も国や時代によって違います。
制度を比べるときは、一つの言葉だけで決めつけず、実際にどんなルールや公共サービスがあるのかを見ることが大切です。そうすると、自由と安心をどう両立させようとしているのかを考えやすくなります。
「資本主義は自由、社会主義は平等」と一言で決めず、だれが生産を決めるのか、財産をだれが持つのか、政府がどこまで関わるのかを比べると理解しやすくなります。
今日のポイント
- 資本主義は、個人や会社が資本を使い、市場で取引することを中心にした仕組みです。
- 資本は、事業の元手になるお金、工場、機械、道具などです。
- 経済では、家計・企業・政府がつながっています。
- 競争は工夫や選択肢を生みますが、いつも公平に働くとは限りません。
- 格差、独占、環境などの課題に対して、政府がルールや公共サービスを用意します。
- 現実の国は、市場の仕組みと政府の役割を組み合わせています。
よくある質問(FAQ)
Q. 日本は資本主義の国ですか?
はい。日本は市場での取引や民間企業の活動を中心にしています。同時に、政府が法律、税金、社会保障、公共サービスで社会を支えています。
Q. 資本とお金は同じですか?
完全には同じではありません。事業の元手になるお金は資本ですが、商品を作る工場や機械なども資本と呼びます。
Q. 利益を出すことは悪いことですか?
利益は、会社が給料を払い、事業を続け、新しい商品を作るために必要です。ただし、安全や法律を無視したり、ほかの人へ大きな損害を与えたりしてよいわけではありません。
Q. 政府は会社の仕事に関係しますか?
関係します。政府は公正な競争、働く人の安全、消費者の保護、環境などのルールを作ります。日本銀行の役割は、日銀の仕事を説明した記事で学べます。
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