「年金」って、なんだか難しそうな言葉だよね。
ニュースで聞くこともあるけど、自分にはまだ関係ないかなって思っている子も多いんじゃないかな?
でもね、年金は君たちの未来に深く関わる、とっても大切な仕組みなんだ。
今日は、年金の専門家の先生が、だいち君とさくらちゃんと一緒に、この「年金」の仕組みを世界一わかりやすく解説していくよ!
この記事を読めば、年金が「将来困ったときのために、みんなでお金を出し合って助け合う仕組み」だということが、はっきりとわかるはず。
さあ、未来の自分を助けるお金の冒険に一緒に出かけよう!



そもそも「年金」って何?みんなで助け合う魔法の貯金箱



ちょっと想像してみてくれるかな?
クラスみんなで、一つの大きな「魔法の貯金箱」を持っているとしよう。
みんなが毎月、自分のおこづかいから10円ずつ、その貯金箱に入れるルールがあるんだ。
そうすると、毎月たくさんのお金が貯まっていくよね。
ある日、クラスの誰かが、大切なコンパスをなくしてしまって困っていたとする。
そんな時、みんなで貯めた「魔法の貯金箱」からお金を出して、新しいコンパスを買ってあげることができる。


自分一人で将来のためにお金を貯めるのは、とても大変だし、病気や事故で急にお金が必要になった時に足りなくなってしまうかもしれない。
でも、日本に住んでいるみんなで少しずつお金(保険料と言います)を出し合っておけば、大きな力が生まれる。
そして、誰かが年をとって働けなくなったり、病気やけがで困ったりした時に、その集まったお金の中から助けてあげることができるんだ。
この「助け合い」の仕組みが、年金の一番大切な心なんだよ。
だから、年金には主に3つの大切な役割があるんだ。
- 1.老齢年金(ろうれいねんきん)
これはみんなが一番よく知っている年金だね。おじいちゃん、おばあちゃんになって、お仕事をやめた後にもらえる生活のためのお金だよ。 - 2.障害年金(しょうがいねんきん)
もし、病気やけがが原因で、今までのように働くことができなくなってしまった時に、生活を助けるためにもらえるお金なんだ。 - 3.遺族年金(いぞくねんきん)
家族を支えていたお父さんやお母さんが亡くなってしまった時に、残された子どもや家族がもらえるお金だよ。


年金はどうやって集めて、どうやって配られるの?2階建てのお家で考えよう!


まず、お家を建てるには、しっかりした土台が必要だよね。
年金にも、この土台の部分があるんだ。
1階部分:国民年金(こくみんねんきん)
これが、年金の「1階部分」、つまり土台にあたるものなんだ。
「基礎年金(きそねんきん)」とも呼ばれていて、日本に住んでいる20歳から60歳までのすべての人が入る決まりになっているんだ。
自分でお店をやっている人、農家の人、フリーランスで働く人、そして20歳になった学生さんも、みんなこの国民年金に入るんだよ。
みんなが入る基本の部分だから、払うお金の額は、基本的にはみんな同じなんだ。

2階部分:厚生年金(こうせいねんきん)
次に、1階の上に乗っている「2階部分」を見てみよう。
これが「厚生年金」と呼ばれるものだよ。
厚生年金は、会社で働いている人(会社員)や、学校の先生、市役所などで働く人(公務員)が入る年金なんだ。
つまり、会社員や公務員の人は、「1階の国民年金」と「2階の厚生年金」の両方に入っていることになるんだね。
だから、2階建てのお家に住んでいる、ってわけだ。
この2階部分の特徴は、お給料の金額によって、毎月払うお金の額が変わってくることなんだ。お給料が多い人ほど、たくさん払う仕組みになっている。そして、たくさん払った人ほど、将来もらえる年金の額も多くなるんだよ。


そして、そのお金の流れは、とってもシンプルなんだよ。
今の若い世代、つまり君たちのお父さんやお母さんたちが払ったお金が、今のおじいちゃんやおばあちゃんたちの生活を支える年金として、すぐに配られているんだ。
これを「世代と世代の支え合い」って言うんだ。
君たちが大人になって年金のお金を払う頃には、君たちが払ったお金が、君たちのお父さんやお母さんの世代を支えることになる。
そして、君たちがおじいちゃん、おばあちゃんになった時には、その時の若い人たちが君たちを支えてくれる。
こうやって、未来へと助け合いのバトンをつないでいくのが、年金という仕組みなんだよ。
「払っても、もらえない」は本当?年金のウソ?ホント?



じゃあ、どうして「もらえないかも」なんて話が出てくるんだろう?
その一番の理由は、「少子高齢化(しょうしこうれいか)」という社会の変化にあるんだ。
これは、生まれてくる子どもの数が少なくなって(少子化)、おじいちゃんやおばあちゃんの数が増えている(高齢化)ということ。
昔は、たくさんの若い人たちで、一人のお年寄りを支えることができたんだ。まるで、みんなで一人を担ぐ「おみこし」みたいにね。負担は軽かった。
でも今は、子どもが少なくなって、お年寄りが増えているから、一人の若い人が支えなければいけないお年寄りの数が増えてきているんだ。これだと、支える人の肩にずっしり重さがのしかかってくるよね。


例えば、みんなから集めた年金のお金を、ただ貯金しておくだけじゃなくて、お金自身に働いてもらって増やす努力(これを「運用」って言うよ)をしているんだ。
だから、年金の仕組みが明日突然なくなる!なんてことは絶対にないんだ。
ただし、将来、私たちがもらえる年金の金額が今より少し減ってしまったり、年金をもらい始める年齢が今の65歳から、もう少し遅くなったりする可能性はあるかもしれない。
だからこそ、年金の仕組みを正しく知って、自分でも将来の準備をしておくことが大切になってくるんだ。
もう一つ、「払った分、損するんじゃない?」って心配する声もよく聞くね。
でも、年金は銀行の貯金とは違って、「保険」だと考えてみよう。
例えば、火事になった時のための火災保険は、もし火事が起きなければ払ったお金は返ってこないよね。でも、万が一火事が起きた時には、払ったお金よりもずっと大きな金額で助けてくれる。
年金も同じで、自分がすごく長生きしたり、若いうちに大きなけがをして働けなくなったりした時に、払った以上のお金で生活を支えてくれる、安心のための「お守り」なんだよ。
未来のために私たちができることって何だろう?


1.年金のことを正しく知る
まず一番大切なのは、今日みたいに「年金ってなんだろう?」って興味を持って、正しい知識を身につけること。
仕組みをちゃんと知っていれば、大人になった時に「よくわからないから払わない」なんてことにはならないし、難しいニュースを見ても、内容が少しずつわかるようになってくるよ。
今日お家に帰ったら、お父さんやお母さんに「今日、年金のこと勉強したんだよ!」って話してみてごらん。きっと、家族で話す良いきっかけになるはずだよ。

2.お金の勉強を始めてみる
年金は、将来の生活を支える大切なお金だけど、それだけに頼る時代ではなくなってきているんだ。
だから、自分自身でもお金と上手に付き合う力を身につけることが、とっても重要になる。
まずは、おこづかい帳をつけてみよう。
自分が何にお金を使っているのかがわかると、無駄遣いを減らして、欲しいもののために貯金する計画を立てられるようになる。
お金を「使う力」「貯める力」を小学生のうちから身につけておくことは、将来の自分への最高のプレゼントになるんだ。
3.健康な体でいること
「え、健康と年金って関係あるの?」って思うかもしれないね。
でも、すごく関係があるんだよ。
みんなが健康で、元気に長く働くことができれば、それだけ年金を支える力も大きくなる。
逆に、大きな病気やけがをしてしまうと、障害年金をもらうことになるかもしれない。
だから、好き嫌いしないで栄養のあるご飯をしっかり食べて、外で元気に遊んで、丈夫な体を作ること。これも、巡り巡って未来の社会を支える、君たちにできる立派なことなんだよ。


まとめ:未来の自分へのバトンをつなごう!




- 年金は、お年寄りになった時や、病気やけがで困った時のために、みんなでお金を出し合って助け合う「保険」のような仕組みだよ。
- 年金には、みんなが入る1階部分の「国民年金」と、会社員などが入る2階部分の「厚生年金」があるんだ。
- 少子高齢化で大変な部分もあるけど、年金制度がなくなることはない。形を変えながら、これからもみんなの生活を支えてくれるよ。
- 未来のために、小学生の今から「年金を知ること」「お金の勉強をすること」「健康でいること」がとても大切なんだ。
年金は、君たちのお父さんやお母さんが、今のおじいちゃんやおばあちゃんたちを支え、そして未来には、次の世代が君たちを支えてくれる、という「世代と世代の助け合い」で成り立っています。
今日の勉強をきっかけに、社会の仕組みに少しでも興味を持って、未来の自分や、周りの人たちのために何ができるかを考える、素敵な大人になっていってくださいね。
